忍者ブログ
文字どおり、日々様々な喧騒やトラブルや猫たちに振り回されてます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

すみません、また読書モードで消えてました。(笑)


今回読んだのは、『十二国記』と同じくアニメにもなった『彩雲国物語』シリーズ全14巻(現在進行形で連載中)と外伝3巻。
基本が同じ少女向きライトノベルで、設定も同じく中華ファンタジーなので、十二国記の小説版を読んだらこっちも小説のほうを読んでみたくなったんですよねぇ。
後学のためというか、文字書き視点での勉強のためというか、比較鑑賞するにはちょうどいい二冊なので。


あ、アニメも一応放映分は既に全部見たので、ストーリーの展開が既に頭の中に入っているという点では十二国記と状況が一緒です。


そのうえでの個人的な視点による感想なので、十二国記ファンの皆様も彩雲国ファンの皆様も怒りませんように。(苦笑)




まずは総体的な感想。
長編小説としての読みやすさは、おそらく彩雲国物語のほうが上です。
ストーリーや時間軸の流れに淀みがない。
すんなり物語を追っていくことが出来る。
キャラクター達の恋愛・政治経済・人間の成長・陰謀・駆け引き・伝説や神話世界など、これでもかといわんばかりに舞台も伏線も盛りだくさんに詰め込まれているわりには、致命的な消化不良を起こしてないように見受けられます。(今のところですが)

序盤は王とヒロインの恋愛?と人間成長中心にストーリーが進みますが、それすらも一個の大きな前フリでしかなく、このお話の面白さはヒロインが官吏となって色々な人間と出会い、迷い悩み奔走し、様々な事件や政局の流れを受けて、他キャラクターともども成長していく中盤以降からが本領発揮というところでしょうか。
ワタシ的には、色々な政治的局面を迎え、数多のキャラクター達の持つ背景や存在意味があかされて、「世の中綺麗事ばっかりでは済まされないんだよ」と展開が徐々にダークになっていく後半に行けば行くほど面白く読めました。


残念な点は、少女向けであるが故に時々盛り込まれる現代口調や、ギャグ風味を加味したいがための、通常ありえない場面でのキャラクターの軽佻浮薄さ。

ギャル語とまではいかないけど、その匂いを漂わす口語などを使われると、せっかくの中華ファンタジーらしい舞台設定が台無しな感じがしますし、設定もネタの練りこみ方もよく出来ているだけに、ここでその言葉遣いはありえないだろうという軽さが目に付きます。

例えば、公式な席で臣下が王に向かってタメ口で「あんた」呼ばわりするとか、朝議の席で上司と部下がTPO完全無視の言葉遣いで堂々と掛け合い漫才するとか。(苦笑)

いや、出番の少ないキャラクターの個性を演出する手っ取り早い方法かもしれないし、若い読者さんにはそのほうが理解しやすく、親しみや共感が持ちやすいというのはわかるんですがね。(´・ω・`)
せっかく高度な政治経済や、複雑な人間関係による心の襞や陰謀を絡めながら進んでいるお話なのだから、同じ場面に軽妙さやコメディ風味を盛り込むにしても、作品自体の品格を失わないもうちょっと別のやり方があるだろうになぁと惜しい感じがします。

うーん・・・大雑把にわけると。
十二国記は年齢性別をあまり選ばないのに対し、彩雲国物語はかなり若者向け・女性向けなイメージが先行しますね。
文体が終始一貫している安心感や作品としての品格を言うなら十二国記のほうが上。
一般受けという視点での感情移入のしやすさや、小説としての読みやすさは彩雲国物語のほうが上という感じかな。
ネタの練り方や設定の練り方は両者互角かもしれません。

ただ、彩雲国のほうが恋愛や経済話など、ストーリーに盛り込む要素が多すぎる分だけ、時々伏線処理が大雑把になっている感は否めない。
序盤では結構ご都合主義的結末に感じる展開が多々みられましたが、中盤過ぎたあたりからは作者も筆がのってきたのか、わりと巧みに処理されるようになり、そういう感じもかなり減りましたが、それでも時々顔を出します。

でもでも。伏線を残らず全部絡めとって、ひとつの大きな流れを形成する巧みさは拍手に値すると思いますわ。
口語とかの文体の軽率さや、時折顔を出すご都合主義的展開を差し引いても、きちんと計算された伏線の張り方やまとめ方には敬意を払いたい。
ついつい先を読ませてしまう、安定した張りを保つ筆の走りやテンションも地味にすごい。
少女向けラノベという土俵で作られたのが、少しもったいなかった作品かも。

いや、他の方のブログで最新巻などのレビューや感想文を読むと、この作品に単なる王とヒロインの恋愛成就やお綺麗事だけを求め、ワタシが一番面白みや必然性を感じる政治色やダーク性の強い部分を嫌悪+否定し、純粋無垢なオトメであるが故に状況判断や言葉の裏読みも出来ないまま、こんな展開は重すぎると怒りまくっているお嬢さんがたも多いようなので。(苦笑)
それも作者の仕掛けのひとつなのかもしれませんがね。(ぁ

ということで、点数的には両者引き分け。(笑)
好みもあるでしょうが、個人的感想からいえば一回ぐらいは読んでみてもいい本だと思います。

PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
うぬー(´・ω・`)
誤字ハッケン! 複線→伏線じゃないかとw

そう言われると読んでみたくはなるのですが~~~~。
アニメ(最初の数話のみ視聴)のときにダメだと思ったありえない上下関係(TPO無視)とか、ご都合主義的展開というのが一番ひっかかる人間なもんで、いまひとつ気が乗りません(笑)。
自分のことは棚上げなのは言うまでもナイ。どうせドリーマー120%なお嬢さま方とはズレてるし (´ー`)
九条 2009/07/09(Thu)  18:09 編集
あちゃー(*ノノ)
やってもうたか、誤字。(*ノノ)
まったくあたしも、えらそーなこといえんわな。(苦笑)

アニメはねー、某国営放送局らしくお子様でも安心して見られるように少々変えられてるし、そのせいでありえなさと軽さがさらに前面に出ちゃってる感じしたなぁ。

原作ではちゃんと?4巻あたりから、お嬢好みの(笑)血まみれ惨殺シーンとかダークで生々しい表現が結構盛り込まれるようになるし、アニメ序盤の『のほほんドタバタ恋愛中華ファンタジー』のイメージとはかなり違ってきまする。

つーか、放送が某国営放送局だったからこそアニメでは削られてしまった流血もしくは惨劇シーンこそが、この小説のキャラクターの背景に深みや意味を与えてると思うので、アニメがダメだった人でも原作なら読めるかも?(笑)
相変わらず軽佻浮薄な部分を残しながら、結構エグイこともさらっと書いてるし。
所詮美形ばっかりのオトメ向き恋愛小説・・・と侮れない部分もちゃんと盛り込まれてくるので、一読の価値はあると思うよ。

それに多分、お嬢好みのキャラクターもいると思う。(笑)
現14巻という連載中にこれだけ登場人物を増やしていながら、あくまで主人公のヒロインをストーリーの中心に持っていけてるってのは、やっぱりプロットがしっかりしてるんだろうなぁと思うわ。
時々強引な展開はあってもね。(苦笑)

まあ締め切りや枚数制限なんかもあるんだろうし、少女向けという制限もあるだろうし、自作が穴だらけなアタシも偉そうに講釈たれられないけど、原作のほうがアタシはおもろかった。
続きを読みたいと思うぐらいには。(笑)
忽蘭 2009/07/10(Fri)  03:51 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
あづい(´・ω・`) HOME ピリピリ。
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
カウンター
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
プロフィール
HN:
紅牡丹
性別:
女性
職業:
暗躍家
趣味:
隙をぬってサボること
自己紹介:
もう人様に堂々と己の年齢を告知できなくなった?ネット依存症で行かず後家な独身ダメダメ大年増女。(笑) ボチボチいいかなと、HNを元に戻しました。
お世話になっています♪


人気ブログランキング

こちらもいかが?


ブックオフオンライン
ブックオフ オンライン様


HOME'S引越し見積もり


引越し価格ガイド 様
お勧めオンラインゲーム♪


キャンペーン中らしいです。



↑これも気になるところではある。

アクセス解析